現場警察官に聞く職場事情

他ブログ経由です。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20070215/mng_____tokuho__000.shtml
 

警視庁板橋署常盤台交番の宮本邦彦さん(53)=2階級特進で警部=が、線路に入った女性を救助中、電車にはねられて亡くなり、1992年の旭が丘交番(東京・清瀬)の警察官刺殺事件は14日午前0時、時効となった。地域住民とじかに接する警察官の死に人々は涙したが、遺族が報われるような制度になっているのか。警察官の職場環境は整っているのか。現場で汗水垂らす警察官の声を聞いた。

 宮本さんは今月六日の午後七時半ごろ、東武東上線ときわ台駅近くの踏切に立ち入った女性をいったん交番で保護したが、女性がすきを見て逃げ出し再び線路内に立ち入ったため、追いかけて救出中に、駅に入ってきた急行電車にはねられた。抵抗する女性を、なんとかホーム下の退避ゾーンに押し込もうとしていた懸命な姿が、駅にいた人たちに目撃されている。

 宮本さんを悼む声もやまぬ中、十四日午前零時、清瀬の警察官刺殺事件が時効に。一九九二年二月十四日未明、東村山署旭が丘交番(当時は派出所)で、大越晴美さん=警部補、当時(42)=が何者かに首や胸を刃物で刺され死亡した。同僚は別の事件で出動しており、交番内は大越さん一人だった。

 二〇〇一年八月にも、世田谷署の三軒茶屋交番に勤務していた平田隆志さん=警視、当時(51)=が殉職している。平田さんは「刃物を持った男がうろうろしている」との通報を受け、男に職務質問しようとしたところ、もみ合いになり、首や胸などを刺された。空に向かって威嚇射撃したが、馬乗りになって襲われ、男に発砲。男も死亡した。

 警察庁によると、主に交番や駐在所を拠点にしている「地域警察官」だけでも、昨年の殉職者は四人。うち三件は交通事故処理中などの交通事故で、一件は犯人追跡中に川に流された事故だった。今年は十四日現在で、宮本さんも含め、既に三人が殉職している。

 それ以前の殉職者数は、〇五年が三人、〇四年・四人、〇三年・一人、〇二年・五人、〇一年・三人。多いのは交通事故だが、〇一年は三件中二件が刃物による刺殺だった。

 殉職した警察官の遺族には、地方公務員災害補償法による補償金や、遺族共済年金、遺族基礎年金の「公的補償」の他、功労に応じて「殉職者賞じゅつ金」が支給される(最高額は二千五百二十万円)。上官の命令で特に危険な場所に行き、功労があった場合は「特別賞じゅつ金」(最高額三千万円)が支給される。また、警察育英会などが、奨学金制度を設けている。

 ある警察幹部は「捜査中の事故死で、遺族年金その他で計二億円ほど出たと記憶している。部下に『遺族は困らせないから、命を惜しむな』と言い続けてきた」と話す。しかし、お金は悲しみを癒やしてくれない。警察組織内部で、警察官の命の重さは、どう考えられているのだろう。

 例えば、生死にかかわる防弾チョッキ。

 暴力団捜査などにかかわってきた元警察幹部は「厚さ八ミリとか五ミリの鉄板入りの重たいやつだから、捜査員は身動きがとれない、と着用したがらない。ふと、相手のヤクザを見ると、グラスファイバー製の上等な防弾チョッキを着ていた」と話す。なぜ、高品質なものに変えようという話にならないのか。

 「変えてくれなんて言ったら昇任に差し支えるから、誰も文句を言えない。犯人に刺されても『お前がへまなんだ』『鈍くさい』と叱(しか)られてしまう組織だから」。関西の元署長も「米国の警察官は軽量で頑丈な防弾チョッキを着ている。こういうことにカネをかけないと。精神論で命は守れない」。

 元北海道警釧路方面本部長の原田宏二氏は、現場警察官の苦労を、こう代弁する。「警察官は、逮捕術などの訓練を受けているが、おそらく過剰防衛となってしまうから、相手にまともに使うことはない。今回のようなケースでも、なんとか相手をけがさせずに保護しようとするから、相手の力をなかなか制圧できない。警察官は相手の攻撃より弱い力で取り押さえようとする。今回も相手が女性で、そんな気持ちがあったのではないかと思います」

 首都圏の警察幹部も「警察は夫婦げんかでも呼ばれるが、けんかは、凶悪事件より対処が難しい。高揚している人は信じられない力を出すから」。麻薬捜査の経験が長い刑事も「相手が子どもや自殺願望者の場合、どんな装備も意味なくなる場合がある」と話す。

 自分ばかりか家族の「死」まで意識して働いている警察官もいる。

 組織犯罪の捜査が長い刑事は「内偵中のグループから自宅を張り込まれたことだってあるよ。女房を殺したら、ただじゃおかないけどな」と話す。

 ある刑事は息子の携帯電話も、自分名義で登録したという。「息子が死んだとき、すぐ分かるようにしてあるんだ。本人名義じゃ、分かるまで時間がかかるだろ」

 「殉職者の子どもは無条件で公務員に採用するぐらいのことはやってもらいたい」(関西の刑事)という声もあった。

 「一万円しかしないパソコンソフトを捜査に使おうとしても、なかなか買ってくれないから自腹で買う。毎回、そうです」とぼやく刑事も。

 「捜査車両が足りないからとマイカーを使わされているのに、ガソリン代も全額支給ではない」(関西の刑事)という声も上がる。

 署長経験者の一人は「細かい話だけど、制服、ネクタイ、外套(がいとう)を、交番の警察官にも私服刑事にも同じ枚数、支給するようなばかなことを続けている。もっと交番に気を使ってやれよと言っても改善してくれない。前例踏襲の組織なんだな」

 警察の内情に詳しいジャーナリスト・大谷昭宏氏は「テロ対策だといって、警備・公安警察が充実されているのに、地域警察はないがしろにされている。宮本さんも、もう一人、警察官がいれば轢(ひ)かれないで済んだはずだ。警ら(パトロール)警察官たちも『何かというと、上司が報告書を書けと言うので、昔より忙しくなった』と言っている。警察上層部が保身のために報告書、報告書と言った結果、現場は大迷惑している」と、現場を人手不足にさせた上層部を批判する。

 「昔も今も、刑事への贈り物は『汗をかくからシャツが欲しい』と言われる。マイカーで聞き込みし、靴を擦り減らす現場が警察の信頼を保っているのに、予算は現場に回っていない。宮本さんのことを契機に、きちんと考え直すべきだ」

現場でがんばる方が無駄死にしないようにしてほしいです。

タイガーマスクの方(佐山サトル)が選挙に立候補した際、
日本の警察のぬるさに対して
「暴走族は、撃て!撃て!撃て!です。」
と演説した時には、会場の方も私もちょっとすっきりしてました。

日本では押し問答とかしてるけど、あんなのアメリカだったら撃たれてますよね。

警察がぬるいっていうより、日本の警察は暴走して危ないから
ぬるくしなさいっていう国民の意思なんでしょうか。